色あせてしまった大切な洋服を染色し蘇らせます

色あせた洋服

先日とあるご相談を頂きました。内容は、「大切にしているお気に入りの服が色あせてしまったので、染め直してほしい」というご相談を頂きました。実はこのような洋服を染め直すのは初挑戦でしたが、お受けいたしました。今回は染色工程を開設しながらをご紹介いたします。

①洋服を水洗い

まず洋服を染色する前に、洋服を水洗いします。なぜ水洗いするかというと、長年使っている洋服には、見えない洗剤や柔軟剤の残りや汚れが付いているためです。これを落とさないと染色にムラができてしまいます。

②染色液が入った鍋に入れ煮る

今回は紺色に染め直すため、紺色の染色液を作り沸騰したお湯に入れます。そこへ水洗いした洋服をに入れて15分ほど煮ます。ムラなく染めるために常に混ぜながら煮ていきます。染色液の色具合は、洋服が乾くまで色がわからないので、職人の経験がものを言います。

洋服を染色液に入れて煮る

③水洗い・色止め液につける

洋服を色止め液に浸し、水洗い

洋服を鍋から取り出し、一度水洗いします。そのあと色止め液に数分つけて、再度水洗いします。軽く絞ったら陰干しで自然乾燥させます。乾くまで染具合がわからないので、一番ドキドキする場面でもあります。

トラブル発生

洋服変色

ここでトラブル発生。乾燥して洋服を見てみると、変色箇所が複数ありました。(画像の茶色部分)これは、洗剤や柔軟剤の残り・長年の汚れが原因だと思われます。染色前に水洗いをしましたが、落としきれなかったようです。このような状況の場合、紺色より濃い色で染色する方法しかないので、依頼人様に許可を頂き「黒」で染め直すことになりました。依頼人様には快くご承諾いただきました。

①~③の工程と染色液を再度やりなおります。

染色終了

洋服の染色完了

完成した洋服になります。ムラなくきれいに染色が出来ました。真っ黒ではなく、少し赤みを持たせた黒で染めたので、重い印象もなく素敵に染まりました。依頼人様にお渡しした際も、「逆に色が変わってとても良かった」と喜びの声を頂きました。

You Tubeはこちら

動画でわかりやすく、洋服の染色工程を紹介しています。今後も様々な「染め」にフォーカスして投稿予定です。様々な染めに興味がある方は、チャンネル登録・高評価宜しくお願いします。

まとめ

今回このような洋服の染め直しは初挑戦でしたが、最終的に喜んで頂けてとても良かったです。物を大切に使うのはいいものですね。そんな方のお手伝いが出来て本当に良かったです。今回のように、天然素材であれば綺麗に染まりますが、化学繊維にはできません。もし今お使いのお気に入りの洋服を蘇らせたい方は、お気軽にご相談ください。

中島 久雄

Hisao Nakajima

小紋師/染色家

プロフィール

名古屋にて、(合資)赤塚染工場、染色家「赤塚 正美」氏に師事。職人中島久雄が1976年より、小紋型染めを中心に信州型染めの染色活動を展開しています。

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